OSPREY 's

山道具における”三種の神器”ゆえか?
バックパック考の内輪受けが良かったようなので,調子に乗って在庫パックのカタログに載らない長所・短所なんかをレポートしたいと思います。

OSPREY Atmos50 (left) OSPREY Taron22 (right)
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同じ並びで背面
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数泊用で左側のアトモス50㍑,日帰りハイク用に右側のタロン22㍑ どちらも出戻りになった2004年以降に続けて購入したものなので,現行モデルは色が変わってます。

最初にアトモスを購入したときには,アークテリクス・ボラ50,ミレー・グランキャプサン45/55,カリマー・クーガー40/50,マックパック・アセントクラッシック といった同サイズ容量の候補から絞り込み,最終的にボラかアトモスかの一騎打ちになりました。
なにせ本格的な山装備を買うなんて何年か振りのことで,ワタシの時代のザックと言えばミレーかカリマーという知識しかなく,また,アメリカ派にこだわったために失敗をした過去の苦い経験から「見掛けだけの奇抜な道具は買うまい」と心に念じつつミレーとカリマーのヨーロッパブランドを軸に選考したんだけど,「人と同じはやだ」という虫が暴れ出すと止まらなく,軽量で背負い心地もよかったアトモスに落着。

【アトモス長所】
★背負い心地満点(但し,12~13kgくらいまで) ふわりと包み込まれるとでもいうようなフィット感です
★ジャージストレッチ素材のポケット類が扱いやすいことと,リフレクターパーツの多用
★エアスピードシステムによる背中蒸れの少なさ&サブポケットとしての使い方

【アトモス短所】
◆12kgを越えたあたりから,ショルダーハーネス取付部に剛性不足を感じる
◆ショルダーベルトの軽量化狙いによる薄さから,特に重量が増すと肩に食い込む
◆エアスピードシステムによる凹みにより,思ったほど本体内に荷物が入らない

いつも感じることで,是非改善していただきたいのが山道具屋さんのバックパック商品ディスプレー。 とにかくぱんぱんになるまでナイロン袋等を詰め込んで膨らませているので,このアトモスなんかは「豚」か「ふぐ」にしか見えません。 実際は,もっと見栄えのするパックなんだけどね~

アトモスの正面大型ストレッチポケット
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伸縮性抜群のジャージ素材なので,衣類のほか何でも放り込めて収納力抜群です。
グレー×黒の黒部分は透かしになっているので中身がチラリと見えセクシィ♪
縞々で光っているパーツはアックスやトレッキングポールを押えるストラップで,コイルジッパーの引き手も同タイプのリフレクター素材(現行モデルはコストダウンで廃止かも?) オスプレーのブランドロゴマークである翼を拡げた「みさご」マークもリフレクタープリント。 薄暮早朝出発のテント内,林道のトンネル通過時など非常に視認性が高くて安全・安心。



サイドポケット&コンプレッション
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正面ポケットと同素材の大型サイドポケットが左右にあり,1㍑のナルゲンボトル+αが入るほか上下二段のサイドコンプレッションベルトを使うと,クレージークリークのヘクサライトチェアとかの長いロール物も縦に入れて安定収納が出来,正面ポケットとの組み合わせで多様な収納が出来ます。
荷物が少ないときもサイドコンプレッションベルトを絞れば少ない荷物が下部に偏る「洋なし型」にならず,スッキリと薄い(非ブタ&ふぐ)立ち姿になります。





パーツ類
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左上のプラパーツはメインコンパートメントの開口部絞り。 絞るときはこのパーツをつまんで紐を引き,逆に緩めるときにはこのパーツのリング部を引けばスライドロックが解除されて緩むというもの。 オスプレーのトップローダー(雨蓋付きザック)は,全てこのパーツを使っているが他のメーカーのは今も変わらずだるま型のコードロックなのでオスプレーのパテントなんかな? なにげにいい。
上は,メインコンパートメントから背面の空間にアクセスするジッパーと,ハイドレーションパックの吊り具。 エアスピードサスペンションシステムは非常にユニークな作りで,逆U字とX型を組み合わせたインナーフレームと背面の蒸れを解消する背当てメッシュの間に空間があり,メーカーカタログによるとこの空間部分にハイドレーションパックを吊り下げることで空間の有効利用をしている。 が,実際この空間にハイドレパックを吊り下げて使ってみたところ,背中の体温が伝わり「生ぬるい水」を飲む羽目になるのでオススメしない。 荷物を詰めた状態でこのジッパーにアクセスするのは面倒だが「虫かご」に使えるかなと考えたりした・・まだ実践はしていない(笑)
左の画像は,虫かごに使えるかも・・ という背面部分。 ショルダーベルトがメッシュ部分に縫いつけられているのが分かる。 荷物が増えたときにグニャグニャして剛性不足を感じるのは,ここの設計強度というか構造に課題があるんだと思う。

背面長によって,S・M・Lの三種類。 私はMサイズで,公称容量:65㍑ パック重量:1.65kg
今年,国内で発売開始になった同社のEXOS(エクソス)は,アトモスとタロンの良いところ取りをした進化版のようです。 とりわけ新興山岳宗教が加速しているLight&Fastの流れに応えて,50㍑サイズで本体重量を1kg近くまでシェイプしたところはパック設計者の苦労が偲ばれる期待のニューカマー。

ワタシの使用感想としては,夏場の暑い時期に背中の蒸れを解消したい一心(B.K世代のトラウマ)でこのアトモスを選んだが,ショルダーパッドの薄さにより夏場,Tシャツ一枚で行動する時などは,チェストへ荷重分散させても肩に食い込む感じがする。 逆に,背中の蒸れが少ない冬季はウエアもそれなりに着込んでいるのでパッドの薄さは気にならないという間抜けな状況・・・ 決定的に困った問題はパッキング重量増し時のふわふわ感で,とても頼りなく感じる。(お陰でグレゴリートリコニ60㍑を買い足す羽目に・・) あと,正面両サイドにある止水ジッパーは固くて開けにくい→以前の記事で,雪山で開けられなかったのがコレです。

細かい不満はありますが,1泊程度の気楽なハイクアップなど10kgまでにパッキング荷重を抑えるLight&Fastスタイルなら,もう最高に快適なバックパックの一つということで強力PUSHしたい。


おまけ

【タロン長所】
サイズが22㍑のフレーム無しハイキングパックなので,長所・短所と騒ぐレベルでもないが,兄貴分のアトモス同様にポケット類の使い勝手がいいのと,カラーリングがこれまでの他製品に無い(購入当時)大胆な色使いだったこと,チェストストラップ・ショルダーハーネスの端末が切りっぱなしでなくプラパーツでうまくまとめられているところ。 ECOハイカーを目指すワタシはアプローチに電車・バスを利用することが多く,パックを床に置いたときに余分なストラップが床に広がらなくて他の乗車客にも邪魔にならないなぁ~なんて細かいところに感心しちゃってます。

【タロン短所】
フレームの代用になっている背面のウレタンパッドがくたくたになってきて全体の剛性(というか張り)が無くなってきたこと。
タロン=猛禽類の爪 なのに・・・

実際,六甲山系のご近所ハイクアップで使うのはコイツが殆ど。 ワタシは色にちなんで「雨蛙」という名前を付けて可愛がっている。 お陰で出動率は手持ちのパック中最多で,あちこち細かい傷だらけの勇士なのだが,背面のパッド剛性が落ちていて雨蛙君の引退時期も近いか・・・
余談として,多くのパックメーカーがオプションパーツとしてカメラポーチやらポケット類やらを別販売しているが, OSPREY 社のオプション類はデザイン・色遣いが良くて好感が持てるという魅力がある。 ページ最初から二枚目の画像にあるアトモスには,グラブバック(小物入れ)とマップラップ(地図入れ)を付けてる。 いかにも後付け的な違和感なく,どちらもまた使い勝手が良くてカッコイイ(^^)
by eohiuchinada | 2009-04-03 12:58 | 道具