ダムの話

数年前から,ダムが熱いらしい・・・

高校時代,自分の足(モビリティのこと)を持たない私たちは,「ダムから行く」つまり,瀬戸内バス終点の遠登志(おとし)=鹿森ダム脇の登山口 から登ることをこう呼んでいた。
戦後,産業インフラの基盤ともいえる電力を確保するため,官民一体となって水力発電用ダムの建設に邁進したことは,先だってフジテレビ開局50周年記念番組で,香取慎吾が主役を演じた「黒部の太陽」を観られた方も多いと思うので詳しく説明する必要もないだろう。 慎吾君の怪演?はさておき,とにかく,汗と涙が似つかわしいカッコイイ時代でした。




というわけで,写真集
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メディアファクトリー社が出版している,「土木エンターテイメント」と称するマニアックな写真集。
このシリーズ,売上が良かったのか,「ジャンクション(高速道路のね)」とか派生版を出していて,とにもかくにも巨大なコンクリート躯体を延々と紹介する 一種異様な 楽しい写真集だ。




黒四観光放流
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おそらく,日本で一番知名度の高いダムだろう。 これは平成18年の初秋に家内と二人で黒部・立山アルペンルート(このときは室堂から大町へ抜けた)にハイキングツアーした際に撮った画像。 後に,前述の写真集が出版され本屋で目に付いたのは,同じ様なアングルで撮った記憶があったから。


平成19年7月から,全国のダムのうち国土交通省水資源機構が管理するダムで,ダムの”トレーディングカード”の配布が始まっている。 その名も,”ダムカード” 頭の固い役所にしてはなかなか粋な計らいをするもんだと感心。
もっと早くに始めていれば,全国区の出張族だったワタシなら相当数のダムカードを収集していたことだろう。 残念。

いい大人がトレーディングカードもないもんだが,これがマニアの間では結構人気らしい。
とにかく,山屋が登りたいと見上げるような山岳は,急峻でかつ国土の四方を囲われた海から供給される水分を集めるため主要河川の源頭を持ち,そして海へ駆け下る間に(急峻であればあるほど)深いV字谷を形成している。
この深く切れ込んだ谷と堅固な岩盤が,ダム建設には有利な条件なのであろう。

出戻りハイカーのワタシにとっても,山へのアプローチポイントとしてダムとは切っても切れない関係にあり,これまでとは違う観点でダムを見るという点で,著者:萩原雅紀氏のコミカルな解説のなかにもダムに寄せる深い愛情を感じさせる写真集としてオススメしたい。 えー念のため告知しておくが,お色気は一切無しデス(笑)

ちなみに,第1集は「東日本」,第2集は「西日本」のダムを紹介していて,我が故郷の銅山川(吉野川水系)に連なる「富郷」「柳瀬」「新宮」の三連ダムも全て掲載されている。 別子探検隊の隊長が山行レポートで書いている「笹ヶ峰頂上にあった電波塔」は,四国電力が法皇山脈北側の西条から,南側にあるダム群の制御を行うために設置していた「反射式電波塔」のことで,平成9年5月に光ケーブルを使った通信網の開通に伴い,役目を終えて撤去されたようです。

若かりし頃,鹿森ダムで「さあ,これから登山道!」と靴紐を締め直した昔と同じく,これからも”登山の起点”としてのダムに関心を持ってゆこうと思う・・・ そんなダムに興味を持たれた方は,コチラ またはこっち (^_^)v

【追記】
銅山川最上流にもう一つあるステルス・ダム「別子ダム」は,全国的にも珍しい私企業の管理するダム(主に工場の電力供給を目的に電力会社を除く私企業によって建設されたダムである。 新河川法が施行される前に建設されており,現在は許認可の問題や水利権調整の困難さ,管理維持費の問題や火力発電等に需要を依存している為に新規でのダム建設はされていない Wikiより引用)です。 持主は住友共同電力さん。 決して忘れていたわけではありませぬ・・・
自前で発電ダムを持っている住友財閥,恐るべし!
by eohiuchinada | 2009-04-16 08:46 | 書籍