おにぎりに政界を見る

早坂 隆 著「世界の日本人ジョーク集」(中公新書刊)という本に書かれた話から。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが,国民性を表すジョークらしく,思わずクスリと笑っちゃうので紹介します。

沈没しかけている船の船長が,乗客に「早く船を離れるように!」と促している。
 アメリカ人には,「ヒーローになれるぞ!」
 イギリス人には,「紳士になれるぞ!」
 ドイツ人には,「飛び込むことが規則である!」
 イタリア人には,「女性達がみんな愛してくれるぞ!」
 フランス人には,「飛び込むな!」
 日本人には,「みんな飛び込んでいるぞ!」

もちろん,人間には一人ひとりの性格ってものがあります。
日本でも,地方によって地域性みたいなことをいいますから,あくまでイメージです。
あまのじゃくなワタシは,さしずめフランス人ってことか?
そういえば,カンボジアってフランスの植民地だったな・・・




盛り上がってるのか盛り下がってるのか,4年ぶりの国政選挙もいよいよ終盤です。
ところで,各党党首の呼び方が違うのは何故でしょうね? 不思議だ。
総裁,代表,委員長・・・
法律の規定にないため,自由に呼称できるということらしいです。
総裁とか代表ってのは,なんとなくエラそーなんでわかる。
委員長とか,共産主義国家の書記長とか,総書記とかはどうゆう立ち位置なんでしょうね。
言葉だけを見ると生徒会の下っ端,議事記録係って感じでちっとも偉そうではありません。

夜,暇なんで調べてみた(^^)

昔(戦前),日本の左翼政党は,欧米の政党の役職名として使われていた「Secretary」を秘書と訳さず,書記と翻訳したそうです。 書記という言葉にエラそうな響きを感じないところが,まさに狙いだった。
政策を決めるのはあくまで有権者(労働者)の皆さんであり,私は皆さんの書記係にしか過ぎませんよって,あくまで平等を強調するというニュアンスらしい。
というわけで,ロシアは共産主義を捨て大統領,中国共産党のトップは書記長。
人民代表みたいな呼び方もありましたかね? これまた読むと吐きそうになる単語ですが。
そして,金日成総書記・・・ 喋ってばかりでとってもメモなんかとりそうにないですが。

自由主義の地球代表を標榜するアメリカはどうでしょう。
「国務長官」(外務大臣に相当する役職)は「Secretary of State」
「国防長官」(防衛大臣に相当する役職)は「Secretary of Defense」といいます。
もともとSecretaryとは要職にある人物の側近として,職務を補佐し事務全般を取り仕切る人,「秘書」の意味。
やがてその意味が拡大して大統領を補佐する各省庁の長官の意味になり,一方は会社重役の雑用全般を受け持つ事務員の意味にもなったわけです。 日本語では組織や職権に応じていろいろな語に訳されますが,Secretaryとはトップを補佐する「事務方」「事務方の長」の意味。 組織のNo.1ではなく,No.2か,それ以下の役職に使われる語です。
何人もSecretaryがいる場合,その首席をとくに「Secretary-General」と呼ぶこともあります。

どうでもいいことですが,秘書ってなんとなく色っぽい響きですね。

政党の幹事長は,党首(自民党は総裁,民主党や公明党は代表)を補佐する党内No.2のポストです。
政務に専念しないといけない党首(与党の党首であれば内閣の首相)に代わって党の実務全般に責任を持ちます。
選挙になると「選対長(選挙対策委員長)」という「くせ者」が仕切ったりしますけど,幹事長は常日頃から党内の人事や予算配分を掌握するので権限は強大で,ときに党首以上に党内ににらみを利かせるケースもあります。
元幹事長・・なんて御方が沢山いらっしゃいます(-_-)

そこでです,おにぎりに政界を見ましょうという取り組み
そんなことどうでもいいからとおっしゃるそこのアナタ! カンボジア人が決めたことなので,勝手に話を進めます。

ワタシ,常日頃,おにぎりの海苔ってエライやっちゃなぁ~と感心しているヒトなのです。
皆さんも,小さい頃を思い出してみてください。 遠足みたいなスペシャルな日には,「ちゃんと勉強するから」とか実行性がかなり低いバーター取引で,カーチャンに海苔巻きおにぎりを要求しましたよね!?
出来ればタコウィンナーもお願い,厚焼きタマゴは当然の権利だろうと,やや強行に。
そう,おにぎりに海苔が巻いてあるか,巻いていないかではお弁当箱を開けたときのインパクトが違います。
あるとき,海苔無しのおにぎりが投入された遠足の日など,俺ホントは橋の下から拾われた子じゃないかと本気で心配したことさえありました。

業務役割的におにぎりの海苔を表現しますと,【おにぎり全体を統括し,ごはんの逸散を防ぎ,裸のおにぎりより1ランク上の地位に向上せしめ,全体のリーダーシップさえ持つ】 のが,おにぎりにおける海苔の使命です。
注文したおにぎりをその場で握ってくれる式のお店は,おにぎりの具が海苔からはみ出して存在を主張しています。
コンビニおにぎりに見る昔ながらの具内包型おにぎりは,その中身がわかる旨の表示を大きく掲げています。
いろいろ形はあるけれど,政党における海苔は幹事長,党首は具なんだろうなとワタシは思うわけでした。


今,手元に4年前の郵政選挙翌日の夕刊スクラップがあります
おにぎりに政界を見る_b0162798_16523110.jpg

そーいや,こんなヒトもいましたね・・・
おにぎりに政界を見る_b0162798_16524671.jpg

また長くなってしまいますが,以下,記事内容をそのまま引用します。
【見出し】
なぜ小泉自民党はこれほどまでに強かったのか。
今回の歴史的大勝について,衆議院解散時に朝日新聞社に談話を寄せてもらった識者5人に改めて聞いた。

作家:高村薫さん
昨夜,私はぽかんとして開票結果を見ていた。 そして初めて気がついた。 今まで投票に行かなかった「無党派層」は保守だったんだと。 恐らく世間はこれまで,無党派層はリベラルだと見なしていたのではないだろうか。 それが大きな勘違いであったことが証明された。 自民公認の落下傘候補は今回,無党派層が原動力となって当選を果たした。 前議員の1年9ヶ月の政治活動は顧みられなかったはずだ。 この国は半世紀,事実上自民の政治が続いてきた。 日本人の多くは無意識のうえに保守で,深く考えずムードに乗って投票行動したときに保守になる。 そう考えなければ,リストラにあえぐサラリーマンが雪崩をうって自民に投票する現象は理解できない。 単独で安定多数を手にした自民は念願の改憲に向かうだろう。 一方で外交は行き詰まり,借金は減らない。 道路公団にせよ,今まで小泉政権がしてきたのは官僚組織を温存したままの改革だ。 とてつもないインフレを起こすかも知れない。 生活は確実に厳しくなる。
少なくとも新聞は,投票日直前まで「一歩立ち止まり冷静に考えよう」というメッセージを発していた。 だが,言論は無力だった。 一部政治家とテレビが創り出すムードに無党派層が乗るという21世紀の政治の形をわかりやすく提示したという意味で,「9.11選挙」は文字通り歴史的だった。 (作家) 色文字強調はEOが加工

民意は「こんな政治を変えてほしい」ということだろう。
しかし,その受け皿に民主党がなれるのか?
そもそも構造改革路線を最初に提唱したのは民主党の新自由主義者たちだった。
そのスタンスは自民党よりも激しく,積極的だったはずだ。
変遷をたどってきたとはいえ,本質は新自由主義志向と保守系右派が多数派を占める集団だ。
民主党が議会で多数派を占めるようになれば,おのずと向かう方角が見えてくるというものだ。
なんだか4年前の小泉旋風をなぞっているだけのような気がする。
あの時も「自民党をぶっ壊す」といってでてきた小泉氏に民衆は熱狂したものだ。
変えてほしいという民意が国政を動かしたのは事実だが,本質的な解決まで辿り着かず,むしろ悪化させていった。
それでも,なお政権交代に辿り着くことは望むべきなのだろうか。

さて,梅干し党首のおにぎりが売れるのか,焼鮭党首のおにぎりが売れるのか・・・
目の前に,中身の具が見えないおにぎりもあれば,三角の頂点に乗っかり具だけを強調するおにぎりもある。
海苔だって,近頃は味付け海苔で勝負する一派もあり,具の存在以上に主張するものもあって様々ですな。
冒頭のジョークから,日本人は,周りの人が買う具を確かめてから選ぶ国民性らしい。
みんなわーっと「注文」したはいいが,具や海苔が欠品で手元に届かないってなことにも注意しなきゃです。
注文は取り消しがきかないらしいので,後から照り焼きチキンマヨネーズが良かったからといっても後の祭りですよ。

でもね,釜炊きのごはんを握っただけの塩むすびが究極,一番美味しかったりして・・・
おにぎりは,コメそのものの味が重要なんだよね。 ほんとのところ。
浮かれポンチなテレビのプロパガンダに惑わされず,地元のことを本気で考える候補者に一票を投じたいものだ。
あの遠足の日,カーチャンは,バカ息子が大人になったとき,「おにぎりの主体とは何か」物事の本質を教えるため素のおにぎりを弁当箱に入れたのかも知れない。
いや,やっぱりただ単に海苔を買い忘れただけなんだろうな(笑)
by eohiuchinada | 2009-08-26 17:45 | 日々のこと