登山靴(無雪期)

いよいよ秋の大型連休に突入しますね。
ガスカートリッジ補充のため山道具屋を覗いたら,買い物をされるお客さんの多いこと。
先にレジに並んだお父さんなんか,5万幾らとかの会計をしてましたよ(^_^;)
皆さんどちらへお出かけするのでしょうね(^^)

緑から黄色へ
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これまでいろいろと山道具を紹介したりしてきましたが,よくよく考えると靴の記事がありませんでした。
これから山登りを始めるという人が最初に買うのが,登山靴・バックパック・雨具,この三種の神器でしょうか。
コンパス(磁石)に地図という基本装備もありますが,ライトも必須のアイテムではあるけれど所詮は小物。
この先,山登りを長く続けるかどうかはわからなくてもだいたい最初に靴とバックパックは新調すると思いますね。

昔と違ってここ最近のウエア類は街着にも出来るファッショナブルなモノが増えました。
バックパックとかもあえて街で使う人も居て,装備とファッションの境が無くなってます。
70’sのバックパッキング・ブーム以降,アウトドア・ウエアはファッションのひとつのカテゴリーとして定着した感があるので,ゴツイ登山靴というものは特別な装備になるのかな?

山靴選びは多くのインターネット・サイトやブログで「ウンチク」が語られていて,なかには20年前の理論でもって「登山靴ハコウデナケレバナラナイ」みたいなゴリオ氏もいらっしゃるのでよくよく注意して下さい。
私自身,山に出戻って再編成した道具のうち山靴は最初に買ったもののひとつでしたが,ぶっちゃけていいますと,本当にこれから山登りを始めてみようと思われる方は,一回山に行ってみて,基本的に気持ちよかった楽しかったという感動か,しんどいだけでつまらなかったという失望かのどちらかに分かれる。。。
後で後悔することのないよう,六甲山くらいなら最初は普段履きのスニーカーで歩いていいと思います。
楽しいなぁ,続けられるな,と思った時点でハイキングシューズかトレッキングシューズへ進みましょう。

昔は革製の「重登山靴」と呼ばれる靴底が固くて曲がらない,舗装道路を歩くとロボット歩行になるようなモノが本格派の山靴と信じていました。
出戻り当初も相変わらずそんな理解でいたため,山道具屋に並ぶ靴の種類の多さにまず驚きました。
昔なら,キャラバンなどの軽登山靴か革製の重登山靴という二種類しかなかったのに,ハイキングシューズとかトレッキングシューズなんていうモノが数多く登場し,ロー・ミッド・ハイという靴の深さ(高さ)や,マテリアルもハイブリットな素材から革まであり,選定に際してはかなりうろたえ目移りしました・・・なにせ安くはないですから。
複数の山道具屋さんを巡り,時間をかけていろいろと試着もさせてもらいながら,店員さんのアドバイスも参考に買った出戻り第1号がナイロンと革がミックスのトレッキングシューズでした。
このようにブログで紹介する日が来るとは考えてもいなかったのでこんな写真しかありません。。

Hanwag Mountain Light GTX(ハンワグ・マウンテンライトGTX)Germany
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残雪期を含む3シーズン対応の革×コーデュラナイロン,ゴアテックス・ブーツ。
クラス最軽量ということと,独自の通気システムで靴内の蒸れが少ないなどが謳い文句でした。
片足1kgを切る重量は,昔の重登山靴(片足1.2~1.5kg)に比べるとウソみたいに軽く,足入れも良かった。
またドイツ系の靴は「人間工学」とやらを強調する傾向があり,左右非対称のベロとか,かかとのホールド感もよく最初の山行から痛いとか,マメが出来るとか,昔なら通過儀礼だったトラブルも一切なかった。
防水スプレーの塗布だけで浸水することもなく調子は良かったが,さすがに最後の頃はつま先保護のラバーにひび割れが生じ,アッパーから湿気がつま先に廻ってきて残雪登山で冷たい思いをしたのと,ソールの山が無くなってスリップしたりが頻繁になり,約2年でビブラムソールの張り替えか,買い換えかの決断を迫られた。
ソールの張り替えも考えたが,アッパーのナイロンがいかにもくたびれた感じだったので,フルレザーのトレッキングシューズに買い換えることに。


Sirio 611-GTX(シリオ611-GTX)Japan
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2代目は,山道具屋さんもイチ押しのイタリア製造の日本メーカー,シリオ。
このシリオというメーカーは,もともとイタリアのアゾロというメーカーの日本代理店でしたが,日本人の足型に合ったものを! ということで,企画:日本,設計・製造:イタリアというちょっと異色のメーカーです。
再び店で試着を繰り返しましたが,最後の決め手になったのはワタシに誘われるかっこうでハイキングを始めた教頭先生が買ったのがシリオのレディモデルで,とてもいいという本人のオススメによるもの。
まあ,いくら夫婦とはいえ足型まで同じ・・というワケにはいけませんケド,やはり日本人の足型を徹底的に研究したとあって,非常に履きやすい靴だと思います。
ソールは節度のあるフレックス性をもちつつ,かかと側が低い自然な立ち感で歩行時の安定性も抜群。
特に気に入っているのがシリオ・ビブラムのオリジナルソールです。
ブロックが大きめでゴムとシリカの配合が良いのかグリップも良く,そのくせ靴底に付着する泥土の剥がれがいい。
電車アプローチが多いワタシとしては,泥土を電車内にボロボロ落とすようなことをしたくない。
このソールは買った後,実際に使ってから気付いたオススメポイントです。

私の買ったモデルはラスト幅がEEEのモデルですが,4Eモデルもあります。
試着の時に気付いた点として,横幅が広くなるほど甲が低くなる造りなので,闇雲に幅広モデルを選ぶと幅方向の遊びが大きいわりに甲が窮屈になることがあると思います。 もしシリオで選ぶさいには,この点を注意してくださいね。
この靴はフルレザーアッパーでもあり,帰宅後玄関横の駐車場で靴を履いたままホースでジャバジャバ洗えるし,リキッドの保革防水剤を使えるメンテナンス性の良さも初代のナイロン・革コンビのシューズとは決定的に違う点でしょうか。
その後,この靴を買った大阪ロッジさんで熱成型インソールを作ってもらいカスタムアップしてます。
後述理由により最近出番がめっきり減りましたが,この靴は現役で非常に満足しています。

もし,これから山靴を買おうと思われたアナタ!
日本人にも欧米人のように細幅の人もいるわけですから,店員の奨めるがままに「日本人は甲高幅広」を鵜呑みにせず,足にしっくりくる靴が見つかるまで取っ替え引っ替え試着させてもらいましょう。
そもそも万人に合う靴型なんて存在しないですから。
山道具屋さんで最初に器具を使って採寸してくれるお店なら「シューフィット」の基礎は勉強していると思われますので,まず安心出来るお店だと思います。
逆に,メーカーやデザインで選びたがる私たち購買者に迎合するトークで簡単に奨める店員には要注意です。
大抵の店には模擬の階段や石ころを並べた試走路を持ったりしてまして,試着の際に歩かされます。
私の経験上,たかだか数分間そんなおもちゃみたいなところを往復したって靴の相性や,善し悪しはわかりません。
アナタの足の形を見てから幾つかの商品を選び出してくれる店(店員さん)で買いましょう。


さて出戻って以降,新しい山靴を履いて歩くこと自体が楽しかったことも含め,裏山の日帰りハイクであろうとテント泊の縦走であろうと,足もとは必ずトレッキングシューズでした。
ところが一昨年くらい前に「トレイルランニングシューズ(以下トレランシューズと略す)というモノに出会い,一度その軽さに味をしめるとトレッキングシューズには戻れなくなりました。
このトレランシューズ,ぱっと見は普通のランニングシューズと何ら変わりありません。
違うのは,捻れなどに対する剛性の高さ,ソールのグリップ力,つま先やサイドの傷みやすい箇所のプロテクト補強でしょうか。 勿論,いくつかあるメーカーによっても違いがあるし,タイムレース用のスペシャルシューズは軽量化のため耐久性をスポイルしているようなモデルもありますが,六甲山あたりのハイクアップであれば十分使えます。
というか,下手なトレッキングシューズよりも楽で疲れません。

よく「山の天気は変わりやすいから靴は防水が必須」とか聞きます。
地球の裏側にあり気候風土が似ているニュージーランドでは,「トランピング*1」というトレイルツアーがあります。
ニュージーランドでは自然へのインパクトを極力小さくするため,出来る限り自然のままの姿を残すということで,道をしっかり整備したり,川に橋を架けるなんてことをしていません。
よって,トランピングは自然の川をひざまで水に浸かって徒渉するなんてのは当たり前になり,スタイルも半ズボンにゲイター(スパッツ),靴の防水性よりも浸水することは前提で排水性が良く,早く乾くことのほうが大事とされるみたいです。
日本では猫も杓子もゴアテックスですが,コレ,一度浸水すると防水性の高さが仇になり水が出ていかないという欠点もあります。 ちょうど,水を張った長靴に足を入れて歩いているのと同じなんですよ,ゴアテックス・シューズって。

*1 トランピング →Macpacの日本サイトより,「トランピング事情」「Mana Wahine Walk」を観てね(^^)

六甲あたりで山中泊なんてのは趣味でテントを張る以外ありえないし,天気予報で雨とわかってハイクに出掛けることも少ないと思います。 急な雨に降られた程度のことに完全防水のゴアテックスシューズは必要でしょうか?
春先や晩秋に雨に降られて身体が濡れるというのは別次元の問題ですが,1hrもあれば街に降りてこられる山なら,防水機能無しのトレランシューズで十分。 夏などむしろ積極的に川に入りバシャバシャ靴を濡らすくらいのほうが気持ちよかったりします。

Montorail Continental Divide(モントレイル・コンチネンタル・ディヴァイト)U.S.A
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アメリカ,オレゴン州ポートランドのシューズメーカー
コンチネンタル・ディヴァイトとは,アメリカの長距離自然歩道のひとつで,パシフィック・クレスト・トレイル(PCT),アパラチアン・トレイル(AT)と並ぶ三大長距離自然歩道,コンチネンタル・ディヴァイト・トレイル(CDT)にちなんで付けたモデル名。 残念ながら,2008年で本モデルは廃盤となり,2009年「MountainMasochist(マウンテン・マゾヒスト)」に継承されました。
Montrail
画像でわかるかどうか,ヒールカップが秀逸で収まりが抜群によく,捻れもなくてグリップも良しのGood shoes!
ソールもずいぶんすり減ってきたので,次は「山マゾ」を購入予定です(^_^)b
by eohiuchinada | 2009-09-18 18:31 | テクニカル