GORE-Texは万能か!?

犬に洋服を着せて連れ歩いている光景を近頃よく目にする。
着せてる飼い主は「可愛い」と満足なんだろうが,当のわんちゃん達はどんな気持ちなんだろう?

ちょこっと検索すると,平成17年度のペット産業の市場規模は、『ペットビジネスハンドブック』(産経新聞メディックス年刊)の2007年版によれば,ペットフードが3,946億円,ペット用品が1,776億円,生体・関連サービス(病院・ペットホテル・トリマー等を含む)が4,829億円となっており,合計で1兆551億円に上る。

また,『エコノミスト』(毎日新聞社2008年4月29日・5月6日)には「歪んだ1兆円ペット市場」という記事が掲載されており,ペットを子供やパートナーとして飼う「家族化」が進んでいるとしています。
市場の動きとしては,小型犬人気や高齢化によりペットフードの売り上げが伸びないなか健康・グルメなどの付加価値を訴求した高価格帯の商品の需要が伸びているほか,ペット用消臭剤やファッション雑貨などのペット関連用品市場や,しつけ教室,保険などの関連サービス市場も拡大傾向にある・・・ という。

アウトドアブームも,「歪んだ・・」などと評されぬよう見張りをしなきゃいけない(って何様のつもり)

なにせ文章を要約するとかの能力がやや欠落したワタクシMaky,以降長くなります。
お暇な方のみドーゾ




先日,デザイナーTaku兄から「レインウエア,何がいい?」という相談がメールでやってきた。
なにせ出戻ってから,ひっそりと深海で暮らす魚のように手探り状態でギヤとウエアを買い揃えてきた5年間。
ようやく道具も揃ったなぁというところにブログを始めたりしたもんで,仲間内からの反響もそこそこあり先の相談なんかも受ける「にわか相談員」になってしまった感もある・・・というのは言い訳で,ブログ上で道具を披露するという時点で「自分の持ち物を自慢したい」だけなんだろうな。
この”モノにはこだわる性格”が災いし,結果として級友達を”ひとつ買えば違うモノが欲しくなる”ニコチン並に強力な常習性のある病気の世界への案内人といった方が正確か(^^)
ひとつだけ言い訳をさせていただくとすれば,級友達も同じポパイ世代なので「モノへの拘り」は五十歩百歩だからいいんである。 何かの検索ワードで当ブログを訪問された方も,検索ワードを【GORE-Tex】とか絞り込んだ時点で半分こっちの世界に足を踏み入れている訳なんで,変態の世界へようこそ! なんですよ。

さて,いつものように長い前振りを我慢いただきありがとうございます。
いよいよ確信核心部でアリマス。

で,メールをくれたTaku兄は既に幾つかの候補まで絞っていて,その候補たちを「どうだろうか?」と尋ねてきたわけ。
高校生時代の雨具といえば,ゴム引きカッパとまではいかないものの,いいとこ「ハイパロン」というカッパ同然のもので,着れば確かに雨には濡れないが,着ないで雨に濡れるくらい汗でビショビショになるという,ちっちゃいことはきにすんな的シロモノでした・・・ワカチコ。 なので,合宿以外の山行では殆ど雨傘をさしてトレイルを歩いていたように記憶する。
高校3年生の頃だったか? ゴアテックスという雨ははじいて蒸れは放出するという夢の素材があり,近く山道具もこの素材で溢れるだろう・・・みたいな山渓の触れ込み記事で読んだのがGORE-Texとの出会いだった。 しかしこの夢の素材が製品化されたものは悪夢のように高価で,とても高校生が親にねだって買ってもらえるような金額ではなかった。
まさに,強烈ぅ~だったわけですよ。

すぐに「エントラント」を皮切りに,ナントカ・テックスとか,ハイ・ナントカとか(テキトー)次から次へと防水透湿を謳った製品が市場にあふれ出した。
そう,この防水と透湿がキーなんである。

山道具屋さんの店頭で「完全防水」と書かれたPOPで売り出しているGORE-Tex素材ジャケットの値札をチラリと見て,「高っ!」と素早く元に戻した経験はないだろうか(^^)
夏のボーナスUPを狙うヤバリキの店員に運悪く見つかったりすると,満面の笑顔で「ゴアテックスですからねぇ~」と,非常に危険な巴戦に持ち込まれるので注意と警戒が必要だ。 本当に良いものを適正価格で買いたいと思う賢い消費者は,カラフルな外観に誘われてうっかり値札を見てしまう前に,そもそもゴアテックスって何? という基礎知識は持っておかねばならんでしょうな。

幸い,世はインターネット時代。 GORE-Tex と検索すれば,殆どの検索エンジンの上方に「JGI」のサイトを見つけることが出来るだろう。 そも,ゴアテックスとは稀少鉱石である「蛍石」を原料にしたフッ素と炭素からなるポリテトラフルオロエチレンというフッ化炭素樹脂(PTFE)で,こいつをぺらっぺらに薄く伸ばしたフィルムとポリウレタンポリマーを複合化して作るらしい。 1平方センチメートルに14億個の微細な孔が開いていて,この孔の大きさが水の粒子より小さく,蒸気の粒子より大きいというショーン・レノンばりに「ちょうどいいサイズ」で,これが水をはじいて湿気を逃がすというカラクリ。

ゴアテックスジャケットをバケツ代わりにして水を溜めるのに,内側で水を溜めると外へ水がジャアジャア漏れるなんてことにはならない。 どっちを表にしても裏にしてもバケツ代わりに使えるのだ。 「先生,じゃあ,なんで汗は外に放出されるの?」 うーん,スルドイ質問だねぇ~ 一般にゴアテックスと呼んでいるのはナイロンとかポリウレタン生地でゴアテックス・メンブレン(膜)をサンドイッチしたファブリック全体のことをいうのであって,ゴア膜を挟んだ外気側(表生地)は水を弾く撥水加工がされている。 対して肌側(裏生地)には水(汗など)をいったんポリウレタンコーティングに拡散させて,体熱でもってこの層から水分を蒸発させ外に押し出すんじゃ。 どうじゃ,ややこしいじゃろう。 ほっほっほ~
と,ホントにややこしいバーロめ!なのだ。

んなこといわれても難しくてわかんねぇよ! バンッ!!
とキレそうなあなた,ご安心下さい。 オジサンもキレたくちで,「なんだかわからんけど,取り敢えず値段の高いヤツ買っとけば間違いないだろ」 と,ノースフェースのマウンテン・レインテックスってGORE-Tex XCRのカッパを買いましたね。 実際,着てみても「お,今俺サマの体温が汗を蒸発させてメンブレンの外に排出してんな~よしよし」なんて感じる訳もなく,蒸れるときは蒸れる。 少なくとも,高校生の時のように全身ヌラヌラ汗地獄サウナスーツ状態になるようなことはないので「これがゴアテックスのいう”快適”ってもんなんだろうなぁ」と若干トーンダウン気味の感想でしかない。

おっと,Taku兄の件,忘れてました。
おせっかい親切なワタシは,Taku兄が挙げた候補の他にピンからキリまでの防水透湿素材を使った製品をリンク張りで紹介しました。 兄さんはたいそうヨロコビ,その日のうちにパタゴニア心斎橋店へ行き,Rain Shadow Jacket をお買い上げになったそうで,これでワタシのパタゴニア・アリフェイトへの道が一歩前進したって訳です。

この事前やりとりのなかで,「ゴアテックス神話も崩壊しつつある・・・」なんてコメントをしちゃいました。
まさか,こんなちんけなブログにまでJGIのフォースが及ぶとも思えないけど,取り敢えずゴメンナサイ。
いちお,「しつつある・・・」と,あくまで含みを持たせた玉虫色の個人見解なので,訴えたりとかしないでください。

なんでこんなコメントになったかというと,幸いにして20年近く本格的な山行から遠ざかり,最新アイテムが並ぶ高級キャバクラ山道具屋にも突っ込んで行くことのなかった浦島太郎のような出戻りハイカーが新たにアイテムを揃え始めた頃には,各社独自開発の防水透湿素材が製品化され価格性能のバランスでゴアテックスと勝負になる製品が沢山あったからです。 加えて,防水は完璧じゃないけど,ストレッチ性と透湿性能が格段に良いソフトシェルなるカテゴリーも確立されておりまして。

稀少な蛍石が原料といいながら,通年製品を除き厳冬期氷雪用のジャケットなんかはシーズンの終盤になればディスカウントされて在庫処分されるのを数シーズン目の当たりにすると,理屈でいえばどんどん少なくなって価格が高騰するはずのモノがモデルチェンジで相場を少しずつ高くする以外,「少なくとも全面的に材料由来の値上げはないなぁ~」ということに気付いちゃったんですね。

次に考えるのは,GORE-Tex 商標を使わせる代わりに一定量の原料素材を買わなきゃいかんよ,安売りもしちゃいけんよ的なメーカーとの契約。 そうこうするうちに,e-vent なんていう強敵も出現し,それまでG社からつれなくあしらわれてた?第三のアパレルメーカーがe-ventを採用して攻勢に出つつある。 出る釘は打っちゃえ!と,呉越同舟となったG社とアパレルメーカーは,相互利益のために共同戦線を張り,GORE-Tex Pro shell 同Paformance shell 同Paclite shell に GORE-Tex Soft shell なんて4つのプロダクト・クラスに改め,コマーシャルにも更に力を入れて市場の既得権と求心力を保つのに血道をあげている・・・ てな空気を感じたわけでして。

関西人らしく,うまいオチを付けなきゃならないんで,キーボードを叩く指の動きが鈍りつつアリマス。

結論として,良きライバルは良き競争を産み価格や性能で恩恵を受けるんで,白組・紅組どっちも頑張って欲しい。
ま,Taku兄がそうだったように,ワタシも最終的には「カッコ良さ」または「店員の押しの強さ」で購入判断しちゃうので,GORE-Texも買いますよ今後も,ハイ。 良いモノは高くても市場に受け入れられるが,名前だけで高いモノは淘汰されると思います。 エルメスとかルイ・ヴィトンとか,犬用の洋服を作りそうにない老舗と呼ばれるアパレルメーカーがなぜ世紀を超えて支持され強いのか? GMあたりも真面目に考えるべきだったんでしょうね~
シボレーなんて名前だけのマウンテンバイクを買った人に悪いですよ。

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アウトドア・アパレルも色々買って使ってみてる人柱なオヤジがいえることはひと言。
もの作りの本質を忘れた企業の製品に「神話」は続きません(^_^)b
by eohiuchinada | 2009-06-05 17:27 | テクニカル