セレクトショップの功罪

週末から嫁いだ娘が里帰りをしてまして,自宅での酒量が上がってしまっているEOです。
昨日は遅刻ギリの出社になってしまい,いつもならシャッターを下ろしているビル内をショートカットして会社へ急ぐ道すがら,うむむ? なモノを発見してしまった。
近ごろは,若者対象のファッション界でもアウトドア・ムーブメントが盛り上がっているようで,山道具を扱うショップ店内に,ギヤ選びをする若い男女の姿を見かけることが多い。

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店名は明かさないけど,会社近所のセレクトショップ。
Taku兄が新しいバックパックを購入したこともあり,急ぎ足の目に止まったタグを見逃すには過敏になっていたようだ。
実はコレ,ジェンセンパックっていう70年代にアメリカで主流だった,ケルティやジャンスポーツといったエクスターナルフレームのバックパックに対抗して登場した,革命的ソフトパックなんである。
Rivendell mountain works社





未だにとっつあん坊やで,やんちゃなオヤジを自認するヒトが多い我々世代は,made in USA のタグに憧れ,無駄に小遣いを浪費した苦い経験を持つ世代でもある。

過去記事でも書いたように,高校生のワタシは,このジェンセンパックを真似た極小ガレージメーカー製のモドキを購入して大失敗した経験を持つオヤジ。
70年代創刊の雑誌,「ポパイ」の熱烈な読者であった私達世代は,まだまだ海外旅行が高嶺の花であった当時,アメリカ西海岸などの現地取材で紹介されたサーフィン,スケートボード,そしてバックパッキングなどの「新しい」文化,価値観に目を輝かせ,思春期を過ごしていた。

ポパイ創刊後同誌で輸入雑貨,古着屋として紹介された原宿の「BEAMS」,上野アメ横の「ミウラ&サンズ(現SHIPS)」,時流に乗ったといえばそのひと言で終わってしまうが,ビームス創業当時のチーフだった方が独立して興した「ユナイテッド・アローズ」など,業界大手のセレクトショップは横並びで創業30周年を迎える。

創業オーナーが店頭販売していた時代に彼等から買い物をした我々も,吉田カバンとコラボレートしたビームス別注カバンが発売されると同時に片っ端から完売になる30年後の今を果たして想像し得ただろうか?
70年代のアウトドアブームでは,山道具屋さんも元々あった販路からケッコウいい商売をしたと思われる。
しかし,本業は山と雪の専門ショップなので,ダボハゼ指向なセレクトショップの膨張規模には遠く及ばない。
いやはや,ファッション界には魔物が棲んでいるようだ・・・

つい先日も,北海道の友タナケンさんからの記事コメントで,「ミステリー・ランチ」なるメーカーの問い合せがあり,ひと昔前にファッション界が火付け役になって人気を博した「デイナ・デザイン」の創業者が立ち上げたブランドですよ~
とお答えした。

モチロン,発表当時から基本的な姿カタチ,機能を変えないマスターピース的な道具類も多いが,何十年の時を経ても変わらぬ支持を得られる優秀なギアは,シンプルで頼もしいという共通項があるように思う。

それにしてもだ,30年前であれば革新的であったデザインやテクノロジーも,復刻という名を借りた懐古趣味,またはオヤジ狙いのボッタクリであるようにしか思えないのはワタシだけでしょうか??

ネットで検索してみると,近所のセレクトショップだけでなく,ネット販売で扱っている店があった。
この店では売り切っているようだが,殆ど多くの良識あるハイカーがそうであるように,歯の浮くようなコマーシャルレポートで誘われても,こんな値段でこのブツを買おうという気にはとてもならないんである。 
だいいち,肝心のバックパック単体重量すら表記していないネットショップの姿勢ってどうなん???

気いつけなはれや~


追記
本国サイトの英文を読むと,レインカバーとかのオプションにも応じてくれるセミオーダーだ。
しかも,オリジナル単体で$186 ですよ! 為替レート$1/100円として,¥18,600-
この値段なら,昔懐かしい青春の思いでとして検討に値しなくもないが,セレクトショップよ,ボッタクリじゃねぇか!?
by eohiuchinada | 2009-07-29 12:07 | テクニカル